少なくともヨーロッパにおいて、北国は往々にして南国より食事が美味しくありません。イギリス、ドイツ、オランダといった国々と、イタリア、スペイン、フランスとを比較すると明らかです。そもそも北国では「食」へのこだわり自体がそれ程高くないように思われます。
10月17~20日に訪問したアイスランドでのグルメにも、従ってあまり期待していませんでした。ところがところが、嬉しいことに大いに予想は外れ、とても美味しくいただくことができました。たしかに手が込んだ料理かと言われればそんなことはないのですが、素材が非常に良いのでしょう、毎食舌鼓を打っていました。
まずはこちら、レストレン「スリール・フラッカル(Þrír frakkar)」の鯨とサーモンの刺身のプレート。英語でのメニュー名が「Raw whale meat sashimi japanese way」でしたが、その名のとおり、寿司風にガリとワサビ醤油が添えられていました。特にこの中央部の濃赤の鯨の刺身、まったりと旨みが広がるも、牛肉等と比較するとあっさりした口触りで、素晴らしく美味しかったです。アイスランドは日本と同じく数少ない鯨食国。稀少感もあって飛びついたのですが、間違いありませんでした。
続いてこちらも「スリール・フラッカル」の一品、白身魚とロブスターのロブスターソース和えです。英語でのメニュー名が「Butter-fried fillet of rough fish with lobster and lobster sauce」だったので、この白身魚の種類は不明ですが、鮮度が良いことは明らかで、プリプリの身とロブスターソースの相性が抜群でした。上にロブスター1匹を半身ずつにしたものが乗っています。アイスランドのロブスターはこのように小ぶりのようですが、旨みはしっかり凝縮されていました。さすが特産品です。良い素材でガツンと勝負、そんな一品でありました。
「スリール・フラッカル」はフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)やガーディアン(Guardian)といった新聞でも紹介されことがある名店とのこと。ワイン1本あけて2人で7,000~8,000円。もちろん安くないとは思いますが、ハンバーガーのセットが約1,000円とそこそこに物価が高いアイスランドにおいては、このクオリティでは決して悪くないと思います。おすすめできる良店です。
「スリール・フラッカル(Þrír frakkar)」
★★★★
Baldursgötu 14 - 101 Reykjavík
かわってこちらはレストラン「ロブスター・ハウス(Lobster House、アイスランド語ではHumarhúsið)」で食べた鯨の刺身と4種のソース。4種は写真左より、ジンジャー、マッシュルーム、ビート、ハーブ。鯨肉の上にもソースの素材が少しずつ乗っています。フレンチからヒントを得たであろう一品で、まあまあではあるのですが、特にマッシュルームやビートはソースの味が強すぎて、せっかくの鯨の味が消されてしまっているような印象でした。やっぱりワサビ醤油が・・・、と思ってしまうのは日本人ゆえでしょうか。残念。
こちらはロブスターとチーズソース、「ロブスター・ハウス」の看板メニューです。ロブスターの尾の部分ばかり300g。アイスランドのロブスターは小ぶりなので7尾も登場しました。ロブスターは旨みたっぷり、甘みがぎゅっと凝縮されていてとても美味しくいただけました。ただこちらも少し残念だったのがトッピングのチーズソース。ガーリックたっぷりで、その味が強烈過ぎて、途中から飽きてきてしまいました。そもそも300gもロブスターをいただくことが贅沢ですが、この味のみでいくなら、半分の量で十分なように思いました。
この「ロブスター・ハウス」、もちろん美味しいのですが、少し値段が気になりました。店の名にある位だからロブスターを食べないわけにはいかないとすると、やはりいくら名産品といっても値段が張り、ワイン1本あけて一人10,000~12,000円くらいのイメージです。ロブスターを集中攻撃したい人にはおすすめですが、そうでなければ、値段勘案、他を当たっても良いかもしれません。
「ロブスター・ハウス(Lobster House、アイスランド語ではHumarhúsið)」
★★★
Amtmannsstíg 1101 Reykjavík
その他、美味しかったものは、以下の通り。
ブルーラグーン併設のレストランで食べたシーフードスープ。魚介類がたっぷり、海の幸の旨みがスープに滲み出ていて、絶品でした。臭みが全くなく、良いダシで、新鮮なものを使っていることが良く分かります。イメージとしては、ブイヤベース、ただしあえてサフランで香り付け、色付けをしていないといったところ。
こちらはゲイシールに併設されたカフェで食べたアイスランド伝統スープ。これもアイスランドの名物料理の一つらしいのですが、納得の旨さでした。肉はラム、それに玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ等を加えてじっくりと長時間掛けて作った煮込み料理です。これもきっと良いラムを使っているからでしょう。臭みが少なく、ダシが良く出た旨みのあるスープに仕上がっています。あえていえば塩味が少し強かったかもしれませんが、これは北国ゆえ致し方ないかもしれません。
最後ついでにこちらは首都レイキャビクでたまたま見掛けた寿司屋「Sushi Barrinn」で持ち帰った寿司盛り合わせ。右手前から時計回りに、馬肉、ミンク鯨、マグロとアボガドのチリソースロールを、お好みで選びました。特にミンク鯨が美味しかったですが、残念ながらシャリが全然駄目。寿司の伝道師はまだアイスランドには到達できていないようです。要改善。
何はともあれ、アイスランド、グルメ的にも大変オススメです!
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